夏休みの自由研究に!佐世保の洞窟遺跡で冒険体験
夏休みが近づいてきましたね。お子さんの夏休みの自由研究に家族で佐世保の洞窟遺跡巡りはいかがでしょうか?2024年6月24日に福井洞窟が国の特別史跡(=国宝級)に指定答申され、ますます注目される佐世保の洞窟遺跡!今回は、家族で洞窟遺跡を訪れる魅力と、楽しみ方をご紹介します♪
日本最多で国宝級も!36ヶ所ある佐世保の洞窟遺跡
実は佐世保は「洞窟遺跡日本一」なのをご存じでしたか?佐世保には福井洞窟を始め、合わせて36ヶ所も洞窟遺跡があるんです!これだけ近いエリアに多くの遺跡があるのは全国を見ても佐世保だけだとか。
洞窟遺跡日本一の理由について、今回、佐世保市文化財課の柳田さんに伺うことができました。
このような地形は全国的にも珍しいとのこと。九十九島の不思議な形の岩も、この砂岩でできているんですよ。
さらに3つ目の理由は、人々の好奇心。
全国から考古学者や研究者、学生が発掘調査にあたり、次々と遺跡を発見。それを聞いた地元の中学生や高校生が防空壕や遊び場として使っていた洞窟に行って「もしかしたら遺跡かもしれない」と地面を掘ったそう。そこで人骨や遺物を見つけたケースもあったんですよ!
調査によって次々と見つかった遺跡ですが、もしかすると、まだ見つかっていない遺跡が佐世保にはあるかもしれませんね。
それでは、次に洞窟遺跡のいちおしポイントについてご紹介!
砂岩の神秘的な造形美
洞窟を見ると、とても不思議な形状をしています。これは佐世保の岩が砂岩といって海の砂でできているからです。塩分の多い砂は時代と共に風化し、不思議な形に変化します。まるで別世界の風景のようなその造形は、子供たちを異世界に運んだような気持ちにさせるかもしれませんね。
たとえば「泉福寺洞窟(せんぷくじどうくつ)」は部屋が複数に分かれていて、上には押し入れ?ロフト?のような小さな穴も。「食料をここに保管していたのかな」なんて会話が生まれそうです。
森の中の静けさとヒーリングスポット
整備されている道もありますが、途中から山道になる遺跡も。泉福寺洞窟や福石観音の洞窟は階段で登ったあと、ふかふかの腐葉土の道を歩く先にあります。森の中はひんやりと澄んだ空気。鳥のさえずりも聞こえ、癒しのひと時を味わえます。
お子さんにとっては冒険そのもの。登ったり、降りたり。探検気分で洞窟めぐりができるでしょう。
祈りの場所でパワーチャージ
太古、生活の場として利用されていた洞窟は、いつしか神聖な場所に変化しました。洞窟を訪れると、小さな観音様などが祭られているところもあり、古くから神聖な場所として地域の人が大切にしてきたことが伺えます。
たとえば、福井洞窟は戦国時代、近くの直谷城を守る目的で洞窟内に神社が建てられました。
ほかにも、福石観音の羅漢窟と呼ばれる全長40m以上もある洞窟には何百体もの仏像が祭られています。
須佐神社は、戦国時代から江戸時代にかけての歴史を持つ神社で、洞窟内にご神体が祭られています。本殿で手を合わせると洞窟の奥から涼しい風が。神様がまさに洞窟から私たちを見つめているような、そんな気持ちにさせてくれます。
足元には矢じりが!お宝発見!?
実は、洞窟遺跡の足元に、古代に食べられていた貝殻や使われていた矢じりが落ちているかもしれません!
よ~く目を凝らしてみてみると、キラッと黒光りする石が。それは黒曜石です。黒曜石は、火山活動によってできる天然のガラスで、矢じりなどにして利用していました。古代の人々はこれを佐世保から15キロ以上離れた松浦の海岸から取ってきたそう。あなたもお宝を発見できるかも!?残念ながら持ち帰ることはできないので、写真に撮って記念に残しましょう。
Column
洞窟?洞穴?岩陰?なにが違うの?
同じような場所を表す3つの言葉ですが、いったいどのような違いがあるのか知っていますか?洞窟遺跡は岩を屋根の代わりにして人が利用した遺跡のことをいい、洞窟や洞穴、岩陰は大きさによって呼び分けられているそう。
洞穴・・・天井が低く、奥行が深い自然地形のもの
洞窟・・・洞穴のうち、人が使っていた遺跡として国の指定史跡になっているもの
岩陰・・・天井が高く、奥行が狭いもの
洞窟遺跡巡りを楽しむ!おすすめ周遊コース
遺跡を訪れる前に立ち寄りたいのが、2021年にオープンした「福井洞窟ミュージアム」。プロジェクションマッピングで当時の暮らしの様子をバーチャル体験できます。
「体験室」では、火おこしや古代の編み物、勾玉作りなど常時7種類のワークショップがあります。2024年8月17日(日)にはシーグラスと貝殻を使ったフォトフレーム作りを予定していますよ!
ミュージアムで洞窟遺跡のなりたちを学んだあとは、洞窟遺跡へ出発!
洞窟には案内板があり、QRコードをスマホでかざせば音声ガイドが聞けます。地元の小学校が制作した動画のガイドもありますよ。
岩下洞穴は、縄文時代早期の遺物が多く発見されている洞窟です。洞窟内には、当時の人々が使用していた土器や石器、29体の人骨が発見されています。
防空壕で使われていたこの場所を地元の高校生が掘り起こし、人骨を発見したそうです。
遺跡の反対側は霊場となっており、岩のすきまから光がさしてなんとも神秘的な場所です。
泉福寺洞窟は、地元の中学生によって発見された遺跡で、旧石器時代から縄文時代、弥生時代、平安時代にかけての遺物が多く出土している遺跡です。
この洞窟からは、当時最古とされていた「隆起線文土器(りゅうきせんもんどき)」が出土し、翌年にはさらに古い層で「豆粒文土器(とうりゅうもんどき)」が発見されました。現在、約1万6千年前にさかのぼることが明らかとなり、最古級の土器として歴史的な大発見となりました。
福石観音は、鎌倉時代に建立された洞窟寺院です。間口約60m、高さ4m、奥行5mの三日月型の大きな洞窟で、洞窟内には多くの仏像「五百羅漢」が安置されています。今は公民館になっている洞窟の下に「龍神池」と呼ばれる池があったことから「龍神洞穴」とも呼ばれています。
鎌倉時代の海の民が暮らした痕跡もあり、太平洋戦争終戦後は、一時的な住宅として利用されていました。
須佐神社(すさじんじゃ)は戦国時代から江戸時代にかけての歴史を持つ神社で、洞窟内にご神体が祭られています。発見当時から神聖な場所として存在していたため、発掘調査はされていませんが、かなり深い洞窟ではないかと推測されています。
本殿で手を合わせると洞窟の奥から涼しい風が。神様の存在を感じさせる神秘的な雰囲気は、訪れる人々に深い感動を与えます。一説によるとこの洞窟は伊万里まで続いているとか!?
洞窟探検の心得 5ヶ条
①探検は天気の良い日を選ぶ
②履きなれた運動靴を履く
③長袖・長ズボンを着用し、虫や蛇に注意する
④危険な場所には立ち入らない
⑤奇跡や近隣の生態系を壊さない
以上を守って楽しく・安全に佐世保の洞窟遺跡を冒険してみてくださいね♪
洞窟遺跡日本一の佐世保で日本人のルーツを辿るおすすめツアー
歴史大好きタクシードライバー ムコ殿とともに、日本最古級の土器が見つかった福井洞窟と、市内の出土品が並ぶ福井洞窟ミュージアムをめぐります。出土品の説明から発掘の裏話まで、ミュージアムサポーターとしても活躍するムコ殿の解説に考古学ファンも大満足のツアーです。