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海風旅ブログ
九十九島と養殖漁業
九十九島で養殖といえば、フグ、ハマチ、ヒラス、タイ、真珠、カキなどが有名です。
いろんな魚介類の養殖が営まれていることから、九十九島は「豊かな海」と呼ばれています。 また、九十九島の海は漁業者をはじめ、住民に生活の糧や場を提供してくれる「恵みの海」でもあり、 特に養殖漁業とは切っても切れない仲と言えます。
九十九島の養殖の歴史は大正時代にさかのぼり、波佐見町出身の高島末五郎さんが真珠の養殖を始めたことがきっかけです。
今ではさまざまな魚介類の養殖が九十九島海域で行われており、遊覧船からも多種多様な養殖いかだを見ることができます。
養殖漁業は生産量が毎年安定しているわけではなく、市場での商品の取引相場も関係するので難しい職業です。
環境の変化も大きく影響します。平成5年に急激に水温が変わり、養殖産業は転換期を迎えました。 エルニーニョ現象やラニーニャ現象などによる気象条件の変化が赤潮による魚やカキ、真珠の大量死を招き、 養殖産業に大きな影響をもたらしているといわれています。
一方で九十九島の養殖は年々技術が進歩しており、平成24年と25年には養殖トラフグの生産量が日本一になるまで成長することができました。 このように九十九島の養殖の歴史は「栄枯盛衰」、繁栄と衰退を繰り返しながら今日に至っています。
九十九島の養殖は素材としての商品力が素晴らしいものが多いのも特徴で、全国に販売され、高い評価を得ています。
近年は首都圏での評価が高まってきており、「九十九島ブランド」も確立しつつあります。 九十九島の海は、私たち漁業者にさまざまな恵みを与えてくれる素晴らしい海です。
(文:マルモ水産 代表取締役 末竹 邦彦さん)