UMIKAZE Blog
海風旅ブログ
九十九島と子どもたち
私は生まれも育ちも大阪で、皆さんからは「もっさん」の愛称で呼ばれています。
私の記憶にある海といえば、大阪の人たちが泳ぎに行く兵庫県の瀬戸内海の海岸です。海面には日焼け止めの油がうっすらと浮いており、色は真っ黒で、口の中に入ってしまうとお腹を壊してしまうんじゃないかと思うくらい残念な海でした。当然、そのような海しか知りませんので、海を好きになるはずもなく、少年時代が過ぎ、大人になりました。
私は昨年4 月から九十九島ビジターセンターで九十九島の魅力を伝える仕事をしています。ビジターセンターの展示物や企画展、館内や野外でのイベント、出前授業、受け入れ講座などさまざまなスタイルで九十九島の魅力を発信しています。
仕事では子どもたちと接する機会が多く、イベントや受け入れ講座などで九十九島の島々や生き物などの話をするときに心掛けていることがあります。それは、今の子どもたちが進学や就職などで佐世保を離れるかもしれないときに「私たちの故郷には九十九島という素晴らしい場所があるんだ」と佐世保で育ったことを誇りに思えるような話をすることです。
子どもの頃から九十九島が当たり前のように目の前にあると、九十九島の素晴らしさに気付かないかもしれません。しかし、私には黒い海の記憶しかありません。佐世保の子どもたちに「君たちは幸せ者なんだよ」ということをこれからも伝えていきたいです。
(文:九十九島ビジターセンター センター長 宮本 博文 さん)